大腸カメラ検査
大腸カメラ検査
大腸カメラ (下部消化管内視鏡検査)とは、肛門から内視鏡を挿入し直腸から盲腸までの全大腸(一部小腸)を調べる検査のことです。当院では内視鏡学会専門医が検査を行い、内視鏡治療として内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)および内視鏡的粘膜切除術(EMR)が可能です。検査時間はポリープ切除がない場合、10~15分程度です。大腸がんの発症には加齢、飲酒、喫煙、食の欧米化、運動不足といった生活習慣が大きく関わっているとされていますが、ほとんどは良性の大腸ポリープから発生します。そのため、小さいポリープの時点で切除することが大腸がんの予防につながります。また大腸がんはかなり進行しないと自覚症状が現れにくいという特徴があるため、早期発見のためには症状のない段階から定期的に大腸カメラを受けることが有効です。
当院では大腸カメラに対する「つらい」「苦しい」「痛い」「恥ずかしい」というイメージや大腸カメラに対する不安を解消できるような環境をめざしており、1人でも多くの方に定期的に大腸カメラを受けていただくことで、地域の方々の大腸疾患の早期発見と治療に貢献したいと考えています。健康診断で便潜血反応陽性になった方、あるいは日ごろから便や腸などに不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
大腸カメラは、腸管洗浄液(下剤)によって腸内をきれいにする必要があります。この下剤による前処置が大腸カメラが大変といわれる要因の一つにもなっています。当院では少しでも楽な環境、楽な方法で前処置を行っていただけるように工夫をしています。下剤を服用いただく場所については、患者様のご希望やご自宅の環境、体調に合わせて、ご自宅でもご来院しての服用でもどちらにも対応いたします。
当院ではご自宅での下剤服用が心配な方のため、院内に専用トイレ付個室を2つ用意しております。
大腸カメラは技術(手技)の差が出やすい検査といえます。大腸の粘膜には痛覚がなく内視鏡が入るだけでは痛みを感じません。しかし内視鏡挿入時に無理に押したりすると、腸管が引っぱられることで周辺の筋肉などの神経が刺激を受け痛みが生じます。
当院では、経験豊富な「内視鏡専門医」が腸管にストレスの少ない最新の挿入法で検査を行っています。これにより短時間での検査が可能で、苦痛も最小限に抑えることができます。以前受けた検査でつらい思いをされた方には、ぜひ当院での検査を受けていただきたいと思います。
鎮静剤(静脈麻酔)にて眠ったまま検査を受けることも可能です。鎮静剤を用いた内視鏡検査の大きな目的は不安や苦痛の軽減です。大腸カメラでは腸の中に空気を入れるためお腹の張りや吐き気などで苦しんでしまう方もおられますが、鎮静剤を使用することで症状の緩和が期待できます。鎮静剤の使用は検査を実施する内視鏡医にとってもメリットがあります。大腸カメラでは、緊張してお腹に力が入ることで痛みが生じやすく蠕動運動で腸も動いてしまうため、内視鏡が奥に進みにくくなることがあります。鎮静剤の使用により身体の力が抜けリラックスした状態になることで、内視鏡の挿入や大腸の観察自体をスムーズに行うことができ検査の質の向上につながります。
検査終了後は鎮静剤の効果が切れるまでリカバリールームでしばらく休憩していただくため、安心してご帰宅できます。鎮静剤を使用した場合、自動車、バイク、自転車などの運転はできませんのでご注意ください。
大腸カメラでは、病変の見落としがないように空気を送ることで大腸を広げて隅々まで観察します。その際、空気がお腹の張り感や痛み、吐き気などの原因になることがあります。検査後もしばらく腸内に空気が残ってしまい、症状が続くこともあります。
当院ではこのような検査後のお腹の張りによる苦痛を軽減するため、空気に比べて腸管内で速やかに吸収される(空気のおよそ200倍)炭酸ガスを用いて検査を行っています。これにより検査後の苦痛を大幅に軽減することが可能となります。
※炭酸ガスは体内に吸収されても身体に害を及ぼすことはありません
検査中に大腸がんのもととなるポリープを発見した場合、精度の高い診断を行いながら必要に応じてその場で切除します。腫瘍性ポリープには良性の大腸腺腫と悪性の大腸がんがあり、大腸腺腫は大きくなるほどがん化率が高まると考えられています。つまり、発がんリスクのあるポリープを早めに切除することが大腸がんの予防につながります。また大きさに比例して切除が難しくなるため、小さいうちに切除したほうが安全性も確保できます。
当院では1cm以下のものであれば後出血や穿孔などの合併症がより少ないとされるコールドポリペクトミー(電流を使わずにポリープを切除する方法)、1cm~2cmのものであればEMR(ポリープの下に食塩水を注入し浮かせてから電流をかけて切除する方法)を採用しています。大きなポリープや出血リスクが高い場合は、連携先の病院やご希望の病院に紹介させていただき、入院でのポリープ切除をお勧めする場合もあります。
日本消化器内視鏡学会が定めたガイドラインに沿った消毒衛生管理を実施しておりますので、安心して検査を受けていただけます。処置具は全て超音波洗浄機とオートクレーブという機器により滅菌したものを使用しています。必要に応じてディスポーザブル製品(1回限りの使い捨て)も使用しております。
大腸ポリープの多くは無症状ですが、健康診断での便潜血反応で陽性になることが少なくありません。発症原因としては遺伝的なものが多く、そのほかに食生活の欧米化なども考えられています。大腸ポリープの全てが大腸がんに移行するわけではありませんが、そのリスクを診断するために内視鏡検査を行う必要があります。定期的に検査を行うことでポリープの早期発見が可能となり、低侵襲な内視鏡治療が選択できます。10ミリ程度までの大腸ポリープであれば、日帰り切除を行うことができます。
大腸がんは近年発症率や死亡率が増加し続けています。大腸がんの発症には加齢、飲酒、喫煙、食の欧米化、運動不足といった生活習慣が大きく関わっているとされています。大腸がんは症状を自覚することが難しく、気づかないうちに進行します。症状が出てから診断に至った場合には、内視鏡治療などの低侵襲な治療が選択できないことがあります。下痢や便秘などの排便異常、血便がみられる方や便潜血反応陽性の方は、早めの内視鏡検査をお勧めします。
ストレスや不安などが原因となって過敏性腸症候群を発症することがあります。腸管の知覚過敏などが原因となり、長期間続く腹痛や繰り返す下痢や便秘などの症状を認めます。
ご希望の検査日がある場合、WEBまたはお電話で大腸カメラ検査の「仮予約」が可能です。必ず予約日の1週間前までに受診していただき、「仮予約」から「本予約」への手続きを行う必要があります。1週間前までに来院されない場合、検査はキャンセルとなりますのでご注意ください。ご希望の検査日がない場合、仮予約を行う必要はありません。
仮予約をとられた方もとられていない方も、事前に外来を受診していただき医師の診察を受ける必要があります。服用中のお薬を確認させていただく場合があるため、お薬手帳をご持参ください。血液をサラサラにする薬を内服されている方は、検査数日前より休薬していただくことがあります。検査についての説明をさせていただき、ご同意いただけましたら検査の「本予約」となります。本予約が決まったあとに検査日の変更をご希望の場合、お電話での変更が可能となっております。
食事は、検査食あるいは消化がよく大腸に残りにくい食事を摂取していただきます。夕食は21時までにお済ませください。夕食後から就寝前にかけて、粒(もしくは液体)の下剤を内服していただきます。水、薄いお茶は夜間も摂取可能です。検査に備えて早めに就寝しましょう。
常用している薬は事前の指示通り服用してください。糖尿病の方は、検査当日の朝の薬は服用しないでください。お水、薄いお茶は摂取可能です。洗浄液を1~2L飲んでいただきます。5~10回の排便により便が透明でカスのない状態になれば大丈夫です。看護師が排便状態・性状などの確認をします。必要に応じて洗浄液の内服追加が必要となります。
アクセサリー、時計などの貴金属類は外してください。ストレッチャーに横になり、ご希望があれば鎮静剤と鎮痛剤を注射し、リラックスした状態で検査を行います。検査時間は10〜15分程度です。
検査終了後はリカバリールームで休んでいただき、その後医師より検査結果の説明があります。鎮静剤を使用しない場合はリカバリールームで休む必要はございません。鎮静剤を使用した場合は、検査後の自転車やバイク、車の運転はできません。組織検査やポリープ切除を行った場合、出血予防のため当日の飲酒は禁止です。激しい運動も避け、なるべく消化の良いものをとるようにしてください。